2023年栗の履歴


(1)  結果樹面積は1万5,800haで、前年産 に比べ500ha(3%)減少した。これは、高齢化による労力不足に伴う廃園があったこと等による。

 

(2) 10a当たり収量は95kg で、前年産を1kg(1%)下回った。

 

(3) 収穫量は1万5,000t、出荷量は1万2,200tで、前年産に比べ収穫量600t(4%)、出荷量500t(4%)減少した。

 

(4) 都道府県別の収穫量割合は、茨城県が26%、熊本県が12%、愛媛県が10%、岐阜県が5%、栃木県が4%となっており、この5県で全国の5割を超えている。

(農林水産省より 令和5年産西洋なし、かき、くりの結果樹面積、収穫量及び出荷量 令和6年4月10日公表)

 

 

ーーーーーーーーーー 

 

 

■小田喜商店の回想録■

 

 

例年よりも開花が早い印象で、また梅雨前の受粉が多かったせいか、実のなりが多く

数は多くなりそうと予想された。

 

 

6月の頭には台風も来て大雨に見舞われる。栗以外の作物での水害の影響は多く聞こえてきた。

(一部栗畑も水没したところもあり、一部の栗は影響を受けたと思う)

 

 

実も大きくなり、お盆明けには栗も落ち始め、例年より早くスタート。

徐々に収穫期本番を迎えるものと思っていたが、、、ここからの雨が少なかった。

 

 

栗は雨の水を吸い上げ、実を大きくし落果する。その最後のラストワンマイルで足踏みしている栗が多かった。

ちょぼちょぼとは落ちるものの一気に落ちるといったことがなく、農家さんはやきもきし、本当に大変だったと思う。

 

 

また、雨の少なさのせいか、日中の気温はもとより夜の気温が高かった。

栗にとっては非常に過酷な環境だったと思う。(2022年・2023年9月の気温比較の図を参照)

 

 

出典:MSN 天気傾向
収穫の山も、例年は9月下旬以降で徐々に中生である筑波・銀寄の収穫を迎えるが、2023年は10月に入ってようやく中生の栗が落ち始めた。
晩生の栗もそれに伴い、ゆっくり落ち、長い期間にわたっての収穫作業は、栗農家さんの負担となったと思う。本当に頭が上がらない。

2023年のような秋の雨が本当に少なく、長期間の高温が続く(=秋が来ない)経験はこれまでになく、
非常に過酷な環境だったと言える。

だが、この過酷な環境を生き延びた栗だからこそ、2023年産の栗は本当に美味しかった。
味が濃く、実が詰まって、栗らしさが本当にある栗が多かったと言える。ぽろたん等は味も濃く絶品だった。

粒の大きさも品種にもよるが、大粒が多かった印象。
昨年程ではないが、2年続けて大粒で来ているので流石に2024年は小粒化が進むのではないかと考えている。

2023年は、スタートは前年より1週間程早かったもののそこからの伸びが鈍く、不作を頭がよぎったが、終わってみれば、
ゆっくり栗が落ちてきて、長い期間をかけて収穫され、前年並みと言える結果だった。

2020年以降、茨城県の栗収穫量はベースが約3800トン程度に落ち着いたと考えている。ここを基準に豊作/不作を判断すべきと思う。
(1996~2010年は5800トン、2011年~2020年は4400トンがベースラインだったが、また一段少なくなった)


・・・


2024年は、現時点(5月上旬時点)で徐々に栗の開花が進んでいる。2023年と同様の傾向である。
3月は非常に気温が低く、桜の開花も遅れており、栗にも影響があると想定していたが、4月に暖かさを取り戻し、
栗の開花にも影響を与えたと考えられる。
このまま、気温・降水量など、天候がバランスよく進み、いい収穫につながることを祈っている。

また、台風被害が4年続けて茨城にはなかったのでさすがにそろそろ来るのではないか、と引き続き怯えている。


■収穫量

 

■栗の結果樹面積、収穫量、出荷量推移

 

■茨城県栗収穫量、生産量ベースライン、5年平均

 

■年度別栗収穫量(全国と茨城県)

 

■主要3県栗収穫量推移